ゲイです、ほぼ夫婦ですを運営されている歌川たいじさんの手記を読ませていただいたので読書感想文をば。
『手記 母さんがどんなに僕を嫌いでも』という作品です。
『母さんがどんなに僕を嫌いでも』という漫画のテキスト版です。
先にこちらを読んでしまいました。だってkindleに漫画版ないんだもん。
歌川たいじさんは長年連れ添ったお相手との日常を面白おかしくブログに描かれています。
その中に登場する歌川さんは強く、口が上手く、時に皮肉屋でとても社交的です。
そんな彼のルーツを覗いてしまえる一冊です。
気弱な少年、たいじくんの成長期。歌川さんの成長の理由。
この本には強かな歌川たいじさんは居ません。
大人しくて、身体を動かすより文章を書くことが好きで、自分を襲う身の回りの出来事に悩み葛藤する少年、たいじくんの物語です。
小さかった自分に辛く当たっていた母親のお話。
そこから始まる歌川さんの成長のお話です。
たいじくんは家族関係、いじめ、体型や皮膚疾患により自信がなく、自己嫌悪しながら暮らしていたそうです。
その中でたいじくんはどのようにして今の歌川さんになっていったか。
今の歌川さんが持つ魅力。能力。人間性。そういったものルーツを知ることが出来ます。
友達の少ない私にとって社交的な歌川さんは憧れの存在です。
ですが歌川さんもはじめから社交的だったわけではありません。
相手の聞きたいことを話し仕事で成功したお話。
強くなるってどういうことか。
人を理解するということ。
経験と気づきがあってのものです。
歌川さんはそれらの気づきを惜しげもなくこの一冊に詰め込んでくださいました。
歌川さんの人となりを知ることでより楽しめる
私はブログで歌川さんのことをいくらか知っていました。
歌川さんの身の回りの方々についてもです。
昔の歌川さんにはこういった経験があった。
そして今の歌川さんはこんな生活をしている。
この人は昔歌川さんとこんな関係で、今でもお付き合いが続いているんだ。
そう思うとよりブログも楽しめました。
例えばブログによく登場する歌川さんの親友、キミツさん。
彼との出会いもこの手記に描かれています。
歌川さんに酷い仕打ちを繰り返すキミツさん。
ブログの中では面白おかしく、コメディ映画のように歌川さんが被害を被っているだけですが、手記の中では友人として歌川さんに大きな影響を与える姿が描かれていました。
雑感
歌川さんはゲイですが、この本ではその部分に関しては触れられていません。
幅広い人が触れられるようにと出版社の考えでこのように描かれています。
歌川さんは同性愛のことについても伝えたい気持ちはありながらも、その他の伝えたいことが詰まっているこの一冊を届けたい気持ちでOKしたそうです。
漫画版ではその部分も描かれているようなので、そちらも読んでみたいです。
私は同性愛者は恋愛以外に関しては異性愛者となんら変わりはない。そして恋愛は人生の一部にすぎないと考えています。
この本で同性愛について触れなかった選択は、かえって同性愛者も異性愛者と同じように思い悩むことを伝えることができるのではと思いました。
優しく語りかけてくるような、わかりやすい文体で書かれており、すっと頭の中にメッセージが入ってきました。
ブログでの語り口もそうですが、歌川さんの文章の魅力だと思います。
映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」2018秋公開!
「母さんがどんなに僕を嫌いでも」の映画が完成、今秋に公開されることが発表されました!
ちょこっと予告編?を見せていただいたんですが、俳優陣の全身から役柄を感じさせるオーラが立ち上っているようでした。
今から楽しみです。全国ロードショーですよ、全国ロードショー!